市場温度計
温度計が示すのは「今の数値が、自分の歴史の中でどの位置にあるか」です。歴史の中の位置を示すもので、売買のサインではありません。
強気か弱気か:温度計をまとめて見る
各温度計が自分の長期的な平常値と比べてどの位置にあるかを平均すると、0〜100の総合温度になります。100に近いほど多くの指標が平常値を大きく上回って市場は熱く、0に近いほど大きく下回って冷たい状態です。現在を描写するもので、将来を予測するものでも、売買のサインでもありません。


各指標の現在の温度
この10年間の温度の推移
相場のサイクルの長さはさまざまで、ひと回りに何年もかかることがよくあります(よく言われるのは5〜10年)。そこで、この10年間を描きました。各点は1か月の総合温度で、どの時期に温度が上がり、どの時期に下がったかがわかります。▼は過去の天井、▲は底です。ここでは感情の段階は示しません。相場が上り坂か下り坂かは、その時点では正確に判断できないからです。
歴史で確かめる:温度で色分けした価格
赤が濃いほど当時は熱く、緑が濃いほど冷たかったことを示します。グラフをなぞると、各月の温度と感情の水準が見られます。
歴史が語ること
毎月を当時の温度でグループに分け、その後1年・3年で価格が実際にどう動いたかを見ます。
方法:経済とともに大きくなる数字(売買代金、信用残高、時価総額÷GDP)は、まず直近10年の平均と比べます。もともと決まった平常値がある指標(価格÷10年平均、最高値からの距離、金融ストレス、売買のあった口座の比率、海外投資家の売買比率)はそのまま使います。それぞれ全期間の中でのパーセンタイルを求め(後から見た描写であり、当時わかった数字ではありません)、等ウェイトで平均して総合温度にしています。各月はその時点でデータのある指標だけを平均するため、台湾は1997年からです。等ウェイト平均と、感情の水準の20/40/60/80度の区切りは本サイト独自の設定で、学術的・公的な基準ではありません。相場が上り坂か下り坂かは判断しません。検証では、価格の傾向で判断すると過去の天井・底から1〜8か月遅れて切り替わったからです。リターンは価格変化のみで、配当は含みません。
米国株
米国株:価格÷10年平均
価格が長期平均を上回るほど熱い状態です。高いからといって、すぐ下がるわけではありません(第5章第6節)。
米国株:史上最高値からの距離
高値から20%以上の下落は、一般に弱気相場(ベアマーケット)と呼ばれます。
米国バフェット指標(企業の株式時価総額÷GDP)
経済規模に比べて株式市場が大きいほど熱い状態です。この比率は数十年にわたって全体的に上昇してきたため、全期間ではなく直近10年の平均と比べます。
米国の信用取引貸付残高
株を買うために借りている金額を、直近10年の平均と比べます。倍率が高いほど、借金で株を買う人が多いことを示します。時価総額で割らないのは、時価総額が長期的に膨らみ、比率がいつも低く見えてしまうからです。データ:米連邦準備制度 Z.1。
お金の温度:金利・ストレス・為替
金融ストレス指数(セントルイス連銀・月平均)
セントルイス連銀が18の週次データ(金利7、利回り差6、その他5)から算出し、1993年以降の平均を0としています。0を上回ると金融市場がいつもより緊張し、下回るといつもより落ち着いていることを示します。測っているのは市場の緊張度で、金利の高さではありません。金利が高めでも市場が安定していれば、0を下回ることがあります。落ち着いているほど、温度計では熱いと数えます(リスクへの警戒が薄い)。
米国FF金利
お金のコストです。FRB高官が見込む長期の金利(中立金利とも呼ばれます)と比べ、0.5ポイント以上高ければやや引き締め、1.5以上なら強い引き締め、同じだけ低ければ緩和・強い緩和とします(区分は本サイト独自)。
米国10年債と2年債の利回り差
利回り差がマイナス(逆イールド)になると、歴史的には景気後退の前触れとなることが多いものの、時間差はまちまちです。
台湾ドル/米ドル
数字が小さいほど台湾ドル高です(1米ドルで交換できる台湾ドルが少ない)。海外マネーが大量に流入すると台湾ドルは上がり、流出すると下がるのが普通です。直近10年の平均との差が3%以内なら平均並みとします(区分は本サイト独自)。
台湾株
台湾株:加権指数÷10年平均
本の中で以前使っていた「10年線の乖離率」です。かつては150%をバブルのサインとしていましたが、後から見ると売るのが早すぎました。
台湾株:史上最高値からの距離
高値から20%以上の下落は、一般に弱気相場(ベアマーケット)と呼ばれます。
台湾株:売買代金÷直近10年平均
月ごとに営業日数が違う(2月は旧正月がある)ため、1営業日あたりの平均を使います。売買代金の急増は過熱した人気を、減少は閑散を示しますが、暴落時のパニック売りでも売買代金は膨らみます。
台湾株:信用買い残高
株を買うために借りている金額(上場と店頭の合計)を、直近10年の平均と比べます。倍率が高いほど、借金で株を買う人が多いことを示します。時価総額で割らないのは、TSMCなどの大型株で時価総額が膨らみ、比率がいつも低く見えてしまうからです。データ:台湾中央銀行。
台湾の新規証券口座数(月)
新規口座の急増は、多くの初心者が株式市場に押し寄せていることを示します。TDCCのオープンデータは直近3年分しかなく、より長い平均とは比べられません。中央値より3割以上多ければやや熱い、3割以上少なければやや冷たいとします(区分は本サイト独自)。
台湾株:今月売買のあった口座数
本書で著者が人気を見る指標です。個人投資家の売買が活発になるほど、その月に売買のあった口座が増えます。
海外投資家の売買差額(直近3か月)
海外投資家の大幅な買い越しは投機マネーの流入を、売り越しは資金の流出を示します。データ:台湾証券取引所オープンデータ。
台湾バフェット指標(上場時価総額÷GDP)
台湾にはTSMCのような巨大輸出企業があるため、この比率はもともと米国より高く、しかも数十年にわたって上昇してきたため、直近10年の平均と比べます。
この数字の読み方
パーセンタイルは、今の値が自分の歴史の中でどの位置にあるかを示します。80以上は非常に熱い、60〜80はやや熱い、40〜60は平常、20〜40はやや冷たい、20未満は非常に冷たい(強気・弱気の温度と同じ尺度で、区分は本サイト独自)。過去と比べた今の位置を示すだけで、売買のサインではありません——第5章の検証では、割高で売るとかえって資産が減りました。
考え方は第6章(市場温度計チェックリスト)と第5章(私が高値で売るのをやめた理由)をご覧ください。データラボでは百年の温度リプレイも見られます。
長期推移
出典:米連邦準備制度の経済データベースFRED(FF金利と長期見通し、国債利回り、企業株式時価総額、GDP、セントルイス連銀金融ストレス指数、台湾ドル為替レート、証券会社の信用取引貸付 Z.1)、ロバート・シラー教授のS&P 500長期データ(S&P 500はS&P Dow Jones Indices LLCの商標)。当月に売買のあった口座数は台湾証券取引所「証券市場統計概要」をもとに著者が整理。台湾の政府オープンデータ:台湾中央銀行 2026 金融統計月報「28.株式市場統計 B.株式売買と株価指数(期間別)」(EG27M01)・「28.株式市場統計 A.上場株式の信用取引(期間別)」(EG25M01)、行政院主計総処 2026「国民所得統計常用資料(四半期)」、台湾集中保管決済 2026「集中保管口座異動統計表」(OpenAPI 2-1)、台湾証券取引所 2026「三大法人売買金額統計表」(BFI82U)。いずれも2026年10月にダウンロードした版です。
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